【現行制度と答申案】
通常国会開会前日の1月20日、「国会議員の互助年金に関する調査会」の答申が衆議院ならびに参議院議長に提出されました。現行の議員年金を一旦廃止して、新しい制度に作りかえようとするものです。その新制度の内容を見たら、もうびっくりです。昨年の年金制度改悪法と同様、単に負担を増やし、給付を減らすという内容でした。内容を少し紹介しましょう。
現行制度では、国会議員は今年間126万5,605円を負担しています。新制度では219万8,900円に増加するというものです。また、現行の10年の受給資格を12年に延長し、12年在職時の給付を現行の428万4,800円から288万4,000円と減額するものです。しかし、既に受給している議員は、現行のままとすることとしています。一見すると、随分改革されたと思われがちですが、そもそも廃止すべき制度が継続していること自体がおかしなことです。一旦廃止して、新たに同様の制度を作るというのでは、議員年金を廃止したとは言えません。
【参議院自民党案】
さらに、1月末には参議院の自民党が別の案を提示しました。この案は、議員年金を廃止して、退職金にしようとするものです。しかし、これまた驚きました。財源を100%国庫負担、つまり税金で賄おうとするものです。内容は、毎年250万円ずつ積み上げて、退職時に一括して給付するというものです。つまり、在職期間が3年の議員は退職時に750万円、10年で2,500万円になります。確かに、現行の議員年金と違って死ぬまでもらい続けるわけではないので、トータルでは国庫負担が減ることにはなると思いますが、私はこれも常識外れだと思います。
民主党も議員年金を検討するチームを創設し、提案していくこととしました。
【議員年金私案】
そもそも雇用保険に加入できず、身分保障のない国会議員ですから、落選あるいは引退した後の生活を考えると、何も保障がないというのでは、カバン持ち(財産家)でなければ国会議員にはなれなくなります。何の保障もなければ、いくら情熱があって優秀でも、国会議員になろうという人は集まらなくなることは事実です。優秀な人材を集めるには、何らかの保障が必要です。
私は、議員年金を廃止して退職金に切り替え、その退職金を民間企業と同じようにすれば良いと思います。その仕組みを簡単に説明します。
国会議員は、今までと同様積み立てを行います。金額は、月10万円、期末手当から30万円として、年間150万円ずつ積み立てます。在職3年以上で受給資格を取得します。在職3年未満の場合は退職時に積立金を全額議員本人に返金します。在職3年を経過した時点から民間企業でいうところの退職金引当金を国庫から負担します。その額は、議員が毎年積み立てる額と同じ額とします。そうすると、在職10年の議員の場合、退職時には自らの積立金1,500万円と在職4年目からの国庫負担金7年分の1,050万円の合計額の2,550万円が退職金として支給されることになります。10年を経過した議員には奨励金として1年分相当額の150万円を上乗せし、15年で2年分、20年で3年分、それ以降は奨励金はなしとします。20年で奨励金をなしとする理由は、その議員は後進に道を譲り、新陳代謝を良くすることが必要だと考えるからです。さらに、在職30年で積立も国庫からの負担もなしとします。つまり、30年以上議員を務めても、退職金は増えないということになり、国庫からの拠出も1人の議員当たり上限で4,500万円で打ち止めです。
当選後最初の3年間は国庫から拠出しませんので、在職10年で国庫負担割合は44.4%、20年以上は50%となります。つまり、この方法で制度設計すれば、国庫負担割合は絶対に50%を超えることはありえません。
具体的に例をあげると以下のようになります。
■在職3年未満:退職金はなし
■在職8年:退職金1,950万円(積立金1,200万円、国庫負担750万円)
■在職10年:退職金2,700万円(積立金1,500万円、国庫負担は奨励金150万円含め1,200万円)
■在職20年:退職金6,000万円(積立金3,000万円、国庫負担は奨励金450万円含め3,000万円)
【議員年金を考える前の重要な議論】
しかし、本当は、議員年金が多いとか少ないとかの議論の前にしなければいけない議論があります。それは、国会議員が報酬額に見合った仕事をするかどうかです。いくら退職金額を少なくする制度に改めても、国会議員として何も仕事をしなければ、それは単なるコストです。一方、退職金額や歳費等の報酬が多くても、それに見合う、あるいはそれ以上の仕事をすれば、良いのではないでしょうか。民間企業では、メリットクラシーといって、業務の質や量に応じて報酬を与える、いわゆる成果主義が導入されています。それと同じ考え方です。
自分の仕事に誇りを持ち、国会議員として恥ずかしくない仕事をすれば、報酬が多少高くても無駄ではありません。国会議員の本来の仕事と選挙活動とを混同して、勉強をしないと歳費は無駄な税金になってしまいます。選挙のためのパフォーマンスだけしかしない議員を排除することの方が、実は議員年金をどうするかの議論より重要な気がしてなりません。国会議員の本来の仕事は何かを皆さんも考えてみてください。
2005年02月08日
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