8月16日、民主党は政権公約、いわゆるマニフェストを公表した。今、私の手元にある。冊子になって出来上がるのは、選挙直前の28日になりそうだ。総選挙の候補予定者は、このマニフェストを理解したうえで、誓約書を提出しなければ公認が取り消されることになる。政党政治であるが故に、当然といえば当然のことである。
前回の総選挙と参議院議員選挙で、郵政民営化をマニフェストに書き込んだ自民党は、各候補者から誓約書を取り交わさなかったのであろうか。そうでなければ、あれだけ多くの郵政民営化に反対する議員が出なかっただろう。あるいは、マニフェストの何たるかを、また政党政治の何たるかを、ご存知なかったのであろうか。もっとも、前回の自民党のマニフェストに記された郵政民営化については、どのような解釈も成り立つほど記述表現があいまいで抽象的であった。造反組みが反論するのも、ある意味致し方ないようにも思う。マニフェストは、可能な限り、数値目標を入れて、具体的な表現にすることが原則である。
自民党も近々、総選挙向けのマニフェストを発表する。前回も民主党が発表した後に自民党が発表した。政権与党であるから、前回の自民党マニフェストを評価したうえで、真っ先に作成して発表して欲しかった。
マニフェストを日本に定着させ、一昨年の流行語大賞を受賞した「21世紀臨調(前東京大学総長の佐々木毅学習院大学教授、前三重県知事の北川早稲田大学教授、茂木友三郎キッコーマン社長、西尾勝国際基督教大学教授が共同代表)」は、今回の選挙で自民党が、総選挙は郵政民営化だけを争点にすると主張したのに対して、次のように批判した。「郵政民営化の是非を問う単一争点的な選挙では、ほかのテーマは白紙委任になる。」というコメントを出したのである。的を射た指摘である。
マニフェストは、政権をとった場合、その任期中に実行する複数の政策をパッケージとして国民と約束する政策集である。さすがに自民党も、マニフェストでは山積みされた課題の解決に向けた政策を入れ込んでくることと思う。となると、自ずと争点は多岐にわたることになる。
マニフェストを隅から隅まで読んで理解しなければ投票してはいけないとまでは言わないが、せめてそのダイジェスト(要約)だけでも目を通して欲しい。8月8日の解散以来、自民党の分裂劇に気をとられ、次の刺客は誰なのかといった話題ばかりがマスコミの紙面を埋めていた。しかし、民主党がマニフェストを公表したことをきっかけに、小泉郵政民営化法案と民主党郵政改革案とが比較され、新聞各社もこれまでとは異なる論調になってきた。政策論争に持ち込めさえすれば、我々の政策の方が自民党の政策よりも国民の側にたっていることがわかってもらえると思う。
今回の選挙は、決して郵政民営化に賛成か反対かの二者択一ではない。今回の総選挙は、官僚政治をぶっ壊せる民主党を選ぶか、官僚となあなあの関係を続けるしかない自民党を選ぶかの選挙である。さらには、約1,000兆円の借金を作ってその負担を増税で埋めようという自民党を選ぶか、税金の無駄使いを止めて3年で10兆円の歳出削減を実行する民主党を選ぶかの選挙である。
9月11日まで1ヶ月を切った。私は、一人ひとりの国民の冷静かつ賢明な判断を信じている。
2005年08月18日
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