自民党は、国と地方の公務員定員を10年間で20%純減する目標を掲げ、国家公務員については5年間で5%の純減の中間目標を決定した。地方公務員についても10年間で61.7万人の純減目標を立てた。「小さな政府」を作るために、行政の業務を効率化しようということである。裏を返せば、これまで公務員の働き方が非効率であったことを認めることであり、政府自身の怠慢を棚に上げての主張である。
民主党も公務員制度改革については、わが静岡県の渡辺周衆議院議員を座長として調査会を立ち上げる。メンバーは未定の部分もあるが、今後、この公務員制度改革は、与野党を問わず、活発な議論の場につくこととなる。待ったなしである。
公務員と一口に言っても、業務の内容も位置づけも異なる。質が落ち、量が減ったら困る業務もあれば、困らない業務や電子化やシステム対応でまかなえる業務もある。よって、私は、公務員を十把一絡げで論じることは乱暴だと考えている。また、民間に仕事を移しても成り立つ業務もあれば、市場原理に任せるとかえってコストが高くなる業務もある。小泉総理ではないが、「公務員も色々」である。ただ、色々とは言っても、公務員は、民間準拠が前提である。それ故、例えば、民間企業に与えられている労働基本権を公務員にも付与するといったことも重要課題だ。
今や民間企業、特にある程度の規模の企業(例えば、国家公務員の給与のベースとなる従業員100名以上の企業)では、評価制度を導入する企業が増加している。よって、公務員の給与や昇級・昇格を決定する際は、評価に基づいて判断することが当然と考えられるようになっている。
国家公務員の給与は、人事院が民間準拠を前提に給与等を調査し、勧告する仕組みである。民間企業のように労使交渉で決まるわけではない。その人事院は、国家公務員に対して評価制度を導入しようと試みている。来年1月から課長および課長補佐を対象に試行段階に入る。一気に完璧な評価制度を作り上げることは困難であるため、試行期間を設け、徐々に完全な制度に近づけていこうという方法である。この手法には進化論者である私も賛成である。ただ、デッド(完全導入目標時期)を予め決めていないところが問題だ。例えば、3年後なら3年後と決め、2008年度から完全導入すると決めるべきである。そうでなければ、完全実施がおぼつかなくなってしまう。
公務員は、収益目的で働いているわけではない。そのため、量的評価はなかなか難しい。「今期いくらか売り上げたから評価を上げる」といった方法を採ることはできない。どの程度のコストを切りつめたかは評価できるが、それは最終的なパフォーマンスとの見合いで評価が分かれることになる。そのため、パフォーマンスを質的に評価することとなるため、コストを切りつめたといっても結局量的評価は難しい。となると、公的サービスの質を図る方法を考えなくてはならない。
評価制度を導入している企業は、評価者はその上司であることが一般的である。そのほか、同僚の評価や部下を含めた360度評価を導入する企業もある。それらを参考にすると、公務員の評価者は、上司、同僚のほかに住民の評価を加えたら如何だろうか。レストランに行くと、顧客満足度(CS)調査のためにアンケート用紙がテーブルによく置いてある。これと同様に、役所の窓口で、住民の方々に担当者を評価してもらう仕組みを導入してはいかがだろうか。
国家公務員の場合は、一般の国民とは直接接触はないため、国民の皆様には評価の判断はしにくい。その点、地方公務員、特に市町村の職員や教員の場合は、住民の方々との接触は頻繁であるから、この方法は有用であろう。
私は、アメリカの大学院に通ったが、そこでは当たり前のように講義を受ける生徒が先生の評価を行い、ランキングが冊子になって公表されていた。「評価は上司がすること」という既成概念にとらわれない評価制度を作ることも検討すべきである。
公務員制度改革は、単に給与や人員を削減するという安易な発想ではなく、評価制度を導入して業務に見合った給与や人員に改めるという発想で捉えるべきである。そのためには、公務員の待遇を聖域化しないで、情報をオープンにして、広く意見を求めることが肝要である。
公務員制度改革は、公務員いじめではない。これまでベールに隠されていた公務員の待遇等を全て明らかにすることによって、国民の皆さんに公務員を理解してもらう絶好の機会と捉えることが大切である。
2005年11月14日
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