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2012年06月12日

vol. 149 逆説的思考のすすめ

 前回のvol.148で、「労働生産性を上げる有力な方法の一つが、IT化や不採算事業の整理と労働時間の短縮・有給休暇の取得である」と書いたところ、数人から意見を頂戴した。「不採算事業を整理したら失業者が出る。時短をしたら仕事がこなせず企業の利益が落ちる」という意見である。なるほど、そう言う側面は否定できない。しかし、物事を考える際は、いくつかの視点で考えることが必要だ。上記を例にして考えてみよう。

 景気が悪くなったら、企業は経営コストをカットする。中でも人件費の削減に踏み切る。人件費削減の方法は主に2つ。雇用を維持する代わりに各従業員の賃金を減らす方法と、人員を整理する一方で残った従業員の賃金の水準は維持する方法である(もちろん、その両方の方法を採用する場合もある)。
 前者を採用する場合、その時点の雇用は守れるが企業の生産性は落ちる。また、賃金が下がるため、財布のひもは固くなり消費は冷え込む。後者の方法を採った場合、失業率は上がるが、企業の生産性を上げることが可能となり、企業の利益回復は早まる。そのため、新規事業への投資が可能となり、しばらくすると新たな雇用を生む可能性が広がる。
 わが国は、どちらかと言えば、その時点の雇用を守ることを優先してきたのではないだろうか。雇用調整機能として公共事業が良い例だ。ムダとわかっていながらも雇用をつくる公共事業を積極的に進めてきた。今となってはできあがったインフラの維持のために費用が莫大にかかり、新たな投資(必要な公共事業)に予算を回せなくなってきている。
 その時点の雇用を守ることを優先すべきか、今を犠牲にしてでも将来的に成長するであろう分野に新たな雇用を創る可能性を優先すべきか。私は、程度の問題は残るとしても、基本的には不採算事業を整理してでも将来に備える方法が全体としてプラスだと思う。

 もう一つ。時短や休暇によって仕事量が増える場合の対応にも主に2つの方法が考えられる。休んだ人の分を残った従業員が残業して補う方法と残った人の仕事量はそのまま維持して時短や休暇によって生まれた仕事量を新たな雇用で賄う方法である。例えば、週40時間で10人が働けば延べ400時間の労働時間となる。その400時間の労働量を時短によって週35時間労働(一日1時間ずつ労働時間を短縮する)にすると11.4人の従業員が必要となる(35×11.4=399=約400)。つまり、1.4人分の雇用が生まれる計算だ。1人を新たに雇用し、残りの0.4人分は時短によって生産性が上げて11人で賄うことは理論的には可能だ。
 
 上記で上げたそれぞれの2つの方法のどちらにも長所と短所がある。ただ、これまで行われてきた方法を疑ってみることも必要だ。時には逆説的な方法を考えてみることも必要だと思う。(2012年6月12日)
posted by 藤本祐司事務所 at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ::: 藤本ゆうじのホンネ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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