安倍内閣の緊張感が緩み放しだ。本間正明前税制調査会長と佐田前行革担当大臣の辞任、伊吹文部科学大臣と松岡農林水産大臣の政治資金問題等、大多数の議席を持つ政権政党の驕りを端的に表す行動が頻発している。これらに加え、柳沢厚生労働大臣の軽い発言が、またまた社会問題、政治問題となっている。
柳沢厚生労働大臣は、1月27日、松江市での講演で少子化問題に触れ、「女性は子どもを産む機械」と発言した。さすがに「まずい」と思い、その場で言い直したものの、後の祭り。発言の前後を聞くと、すぐさま陳謝しているし、機械を役目と言い直している。ただ、ここで問題なのは、その発言(表現)の問題だけではないことを読み取らなければいけない。
某テレビ番組で某弁護士は、「柳沢大臣の真意は、別にあり、それを読み取れない理解力が問題である」といった趣旨の発言をしていた。それも一理あるとは思うが、柳沢大臣が厚生労働大臣であることを忘れてはならない。女性を機械に喩えたこと自体、考え方が古く、「産めよ増やせよ」の時代の遺物ともいえる発想を潜在的に抱えているからこその発言である。話しの中で「うむ機械」と言ったのを新聞が性善説にたって「産む機械」と書いたが、ご本人は「生む機械」という意識だったのではと疑ってしまう。それに加え、自分の大臣としての役割を認識していないことも大きな問題である。
柳沢大臣は、少子化対策を担当する大臣である。その大臣が、「女性に頑張ってもらうしかない」と発言をした点が重い。自ら、厚生労働省は無策であり、皆さんに任せるしかないと言っているのだ。それでは大臣や厚生労働省は不要ということになってしまう。さらに問題なのは、都市部、地方部を問わず、今や医師不足が大きな社会的課題になっている。つまり、子どもを産みたくても、安心して出産する安全な環境が整っていないのだ。厚生労働大臣は、直面する医師(特に産婦人科、小児科)不足に対す早急な対策を講じなければならない重要な役目であるにもかかわらず、「女性に頑張ってもらうしかない」と他人事のような発言をしたのだ。
要するに、柳沢大臣は、“人”として、女性を“機械”に喩えた点で人間(特に女性)の尊厳を損ねたこと、“厚生労働大臣”として自分の役割を認識していないことと時代の流れについていけなくなっていることの2点で、大きな問題を犯したのである。柳沢議員にこのまま厚生労働大臣を続けて頂くと、少子化対策と医師不足対策(医療制度改革)が頓挫するリスクがあることがわかった。(2007年2月2日)
2007年02月02日
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