これらが、今国会で大問題になっている「消えた年金」の実態を表した数字である。自民党は、あわてて年金救済法案なるものを議員立法で国会に提出した。今なお実態が全てはっきりしていない段階で、大慌てで作った法案である。
しかし、不思議なこともあるものだ。実態がまだ完全にはわかっていない段階で、どうして対策を講じることができるのだろうか。解決しなければならない課題が全て明確になっていないのに、課題の対応策を決めてしまうということがありうるのだろうか。
政府は、きちんと年金を支払ってきた方に少しでも早く安心して頂くために急いで救済策を練ったと言う。しかし、その救済策なるものがいい加減だったり、結局年金保険料を納付してきた方の納得を得られなかったり、あるいは納付に不公平が生じたりしたら、その対策はむしろ害になってしまう可能性もある。そもそも、社会保険庁がミスをしておいて、“救済”とは何事か。
確かに急いで対応策を示すことが、国民に安心感を与えることにつながる。だからと言って、またろくに議論もしないで決めてしまっては、かえって問題を大きくするだけだ。この「消えた年金」の問題は、事が事だけに、より慎重に対応しなければならない。
安倍総理は、「国民にとって大きな問題であるので、与野党が結束して迅速に対応しなければならない。」という趣旨の、さも当たり前のような発言をしている。しかし、政府の対応を見ていると、「政府・与党にとって大きな問題なので、参議院議員選挙前に、拙速でも何でも良いから出してしまわなければならない。」と思っているとしか思えない。
“迅速”と“拙速”は全く意味が違う。この政府の年金救済法案は、実質的には「安倍内閣を一時的に救済するためのみせかけ法案」である。国民の皆さん、「人は見た目が9割」と言う本もある、みせかけだけの安倍内閣に騙されないようにしてください。
2007年5月30日
