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2008年02月13日

vol.099 道路特定財源問題の隠れたもう一つの課題

 道路特定財源の一般財源化の議論をしている中で、数多くの方からこんなことを聞かれた。「道路特定財源を一般財源化すると、真に必要な道路以外は造らないことになる。そうなると、道路工事が減ってしまって、土木事業者の雇用が不安定になり、地域経済が停滞してしまうのでないか」という質問である。確かに、地方は高度経済成長期以降、公共事業、特に土木業に支えられてきた。地方での就職先は、役所と建設業で占められていた。その地方の基幹的な産業が停滞すると、経済が悪化するという意見だ。ちょっと聞くと、その通りだと思うかもしれない。しかし、このような発想が危険なのだと私は思う。

 道路が必要であれば、道路工事も必要となり、土木業は潤う。しかし、必要性の小さいところに無理矢理需要を作ってもすぐに息切れしてしまうはずだ。それよりも、本当に需要の大きい産業に人材を投資すべきである。例えば、IT産業や福祉サービスなどである。特に高齢化が著しい地方には、福祉サービスが必要である。必要であるということは需要があるということだ。繊維産業が華やかであれば繊維産業に、そして鉄鋼業が盛んであれば、鉄鋼業に人が集まる。IT産業がリーディング産業となればIT産業に人材が集まる。時代は移り、市場は変わる。市場の動向に合わせて柔軟に対応しなければ、経済は停滞する。産業構造のパラダイムシフトに合わせて、雇用構造も移るのは当然である。

 今まで土木業に携わっていた人が、勇気をもって需要の伸びる産業に就けば需要と供給のバランスが取れていき、やがては雇用の安定につながる。確かに、一時的には雇用は不安定になり、失業者や倒産件数も増えるだろう。それを極力防ぐために、セーフティネットを用意しておく必要はあるし、新しい職に就くための支援は必要である。ただ、道路工事を無理矢理作ることが、そのセーフティネットというわけではない。後生大事に道路工事だけを守り続けていくのは愚かである。守れば守るほど、中長期的にみるとその地域は疲弊する。需要のあるところに、人材を投資することこそが重要なのである。

 道路特定財源の維持は、需要の少なくなってきた道路工事を無理矢理作って人を投資するということだ。与党がいうように、道路特定財源を10年間維持したとしたら、10年後、気がついてみたら、日本は国際競争力の弱い国になってしまうだろう。必要な分野に必要な人材を育成できず、非効率的な産業構造を作り出すことになる。それこそ、官製不況である。

 日本の国際競争力比較が徐々に落ちてきているのは現実である。ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)や国際経営開発研究所(IMD)などの発表を聞いても、日本の国際競争力は確実に落ちている。様々な原因はあるが、その1つに「需要のないところに需要を人工的(強制的)に作り、真に需要のあるところに手を打っていない」ことが上げられるのではないだろうか。短期的には政府が市場をコントロールすることは可能であろうが、中期的には政府が市場の動きを止めることはできない。道路特定財源の一般財源化は、このような課題も投げかけている。
(2008年2月13日)
posted by 藤本祐司事務所 at 10:07| Comment(0) | TrackBack(0) | ::: 藤本ゆうじのホンネ
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