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2012年06月05日

vol. 148 世界における日本の評価が下がっている

 先月末、世界の中での日本の評価が下がっていることを示す数字が続けて発表された。一つはスイスの有力ビジネススクールのIMD(経営開発国際研究所)が発表した「世界競争力年間」の数字。もう一つは、経済協力開発機構(OECD)の国民生活の幸福度を評価した「ベター・ライフ・インデックス=BLI」である。
 
 IMDによると、日本の競争力は調査対象の59ヶ国・地域中、第27位と前年より1つ低くなった。1989年〜93年のバブル経済の後期は、日本が総合首位であったことを考えると、20年間の地位低下は誰もが認めざるを得ないだろう。
 昨年から急速に低下した分野は、エネルギーを中心とする基礎インフラ分野だ。東日本大震災時の原発事故やその後の原発停止が、エネルギー供給の不安定を招いたことが響き、基礎インフラ分野が世界32位に急低下した(昨年は20位)。
 また、「政府の効率性」、特に公的債務の水準は、なんと59ヶ国・地域中最低の59位。日本の財政の建て直しが待ったなしであることは、世界共通の認識である。欧州の財政危機以上に日本の財政状況は厳しく評価されている。ただ、まだ日本には建て直す余力があと認識されていることから、欧州ほどには不安が広がっていないことも事実である。財政建て直しに向けて消費税増税だけが唯一の方法とは言わない。ただ、世界が期待する有力な方法であることも間違いない。
 
 もう一つの数字はOECDのBLIだ。BLIは、「より良い暮らし指標」と言われる。日本は調査対象の36ヶ国中21位と昨年より2つ下がった。「安全」や「教育」は高順位であるが、「仕事と生活の調和」「生活の満足度」の評価が低かった。特に34位の評価を受けた「仕事と生活の調和」は、いわゆる働き過ぎの日本に対する評価である。労働時間の長さに加え、一日のうちで余暇・睡眠、食事にかける時間の少なさが響いている。「生活の満足度」は国民が10段階で採点した平均値が各国平均よりも0.6ポイント低く、36ヶ国中で27位となった。「自分が好きで長い時間を働いているのだから余計なお世話だ」と言いたいところだが、「生活の満足度」も低いとなれば問題である。
 同様に本年2月に発表されたOECDの調査結果だが、日本の労働生産性は加盟国34ヶ国中19位。高い高いと言われていた製造業だけをとっても世界第10位。また、労働生産性を上げる有力な方法の一つが、IT化や不採算事業の整理と労働時間の短縮・有給休暇の取得であることも世界の共通認識。であれば、経営者と労働者の双方にやる気さえあれば、労働生産性の向上はそんなに難しい話ではあるまい。そうなれば、幸福度指標(BLI)の「仕事と生活の調和」や「生活の満足度」の評価も上がっていくであろう。
(2012年6月5日)
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2012年05月08日

vol. 147  今年もクールビズが始まる

 今年も5月1日から国会でもクールビズが始まった。従来6月1日から9月30日だったクールビズだが昨年の震災後、節電の取組みから、始まりと終わりを1ヶ月ずつ延ばした。その結果、1年の半分(半年)はクールビズになった。

 私が議員になる前に勤めていた会社では、20年前からすでに今でいうクールビズだった。私がアメリカ留学から帰国して、当時の三和総合研究所に勤め始めたのが1989年秋。当時私は千葉県浦安市に住んでおり、東西線と銀座線で新橋まで通勤していた。翌年夏の東西線の車両の冷房率は20%以下。5本に4本は無冷房の電車。冷房が効いていない上に手と足がバラバラになりそうな満員電車。当時私が考えたことは、「東京一極集中と地球温暖化は解消しなくてはいけない」だった。 
 会社に着くと服はぐっしょり。私は考えた。「上着とネクタイはやめて、ポロシャツで通勤しよう」と。行動に移した。数着の上着を会社のロッカーに置き、カバンに下着とワイシャツとネクタイを入れる。そんな通勤が続いたある日、会社に着いて早々、至急の電話が鳴り、着替える間もなく仕事に取りかかった。気がついたらお昼。「なんだ、着替える必要すらないや。」それ以来、会社にスーツとワイシャツとネクタイを置いて、ポロシャツのまま仕事を続けた。机に向かっているだけで外部の人と会わない日は、ポロシャツのままでも仕事に支障はない。気分がリラックスしているので、かえって生産性は上がる。周囲はネクタイと上着を着用している。私はきっと周りから浮いていただろうと思いつつも、気にせず続けた。そうこうするうちに誰かが声を上げたのだろうか、会社も翌々年くらいから「夏はノーネクタイ、ノージャケット」となった。
 その後、夏が問題なければ秋も冬も良いじゃないかと、結局1年を通してノーネクタイ、ノージャケットになってしまった。もっとも、お客様(私の部署のお客様は主に役所の方)に会う時だけはスーツに着替えた。ロッカーにスーツとシャツなどを一揃え置いておき、お客様を訪問する時だけ着替えた。

 私が参議院議員となった翌年の夏から国会でもクールビズが始まった。三和総合研究所でも私が入社した翌年の1990年から事実上のクールビズが始まり(私が勝手に始めたのだが)、国会も私が初当選した翌年の2005年からクールビズになった。地球温暖化が進む中で気候が変われば仕事着が変わってもおかしくない。
 ネクタイを生産するメーカーなどはクールビズに反対する方々もいらっしゃるだろう。一方で新たなビジネスも生まれていることも確かだ。下着やシャツは形も素材も一工夫されたようだ。デパートに行くとクールビズについて新しい提案が色々あるらしい。ひところはドブネズミと揶揄された男性のビジネススーツも随分とおしゃれになった。沖縄では“かりゆし”が定着したし、他にも地元の宣伝に一役買う絵柄のTシャツや浴衣地のシャツなど、地方も個性と地場産品などの特色を活かしている。
 何か新しいことをする際には、メリットとデメリットがつきものだ。何も新しいことにトライしないで沈んでしまうよりは、デメリットが多少あってもメリットに着目して新たな試みにトライすることが大切なような気がする。そうすれば、皆が自然に創意工夫をするようにもなり、想像以上の効果を生むこともあろう。たかがクールビズ、されどクールビズといったところだろうか。(2012年5月8日)
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2012年04月18日

vol. 146 過去の概念と決別する時

 「必要は発明の母」と言われる。必要性が高まれば高まるほど新たな発明の可能性が高まるということだ。IT技術の進歩とITの日常生活への浸透をみると、まさしく「必要は発明の母」であることを感じる。私が子どもの頃、腕時計のような、今で言うコンピュータを使って映像付きで通信や電話ができるアニメがあった。スマホやタブレットPCの登場で空想が現実のものになりつつある。

 原発の再稼働が社会問題になっている。そもそも原子力発電も「必要は発明の母」の結果生まれたものであろう。原発が稼働しなくなったら産業界に大打撃を与え、日常生活を送れなくなると言う。今すぐに原発に替わる電力は見つからないことを考えれば、それは本当だろう。しかし、何年か経てば原発なしでもなんとかなるという期待を捨てることはできない。人口は減り、産業構造も変わり、省エネ技術が高まるから電力需要が小さくなる。原発を一旦稼働させたとしても、例えば10年後とか20年後には原発がゼロになっても生活に困らないかもしれない。
 私は科学者でも専門家でもないので、その可能性がどの程度高いか低いかはわからない。ただ、これまでの人間の科学技術の目覚ましい進歩をみると、何年か後の原発なしの生活はあながち夢の世界とは思えない。
 福井県の大飯原発の再稼働の是非を巡って議論しているうちに、複数の企業は自家発電設備の投資を検討し始めた。年々自家発電設備の性能は良くなるだろう。また、昨年の東京電力の計画停電の際には企業自らが輪番操業を取り入れた。経済のグローバル化の状況を考えると、日本国内だけで生産活動が完結できなくなっているのだから、輪番操業や休日操業・平日休業も特別なことでなくなるかもしれない。
 さらに今年は家庭用扇風機がバージョンアップしている。形もスタイリッシュになり、温度を関知して風力を自動制御する扇風機や、夜間電力で蓄電して半日以上も電気なしで持続する扇風機などが次々に販売されている。昨年、品不足に陥って急いで扇風機を購入した人が「今年まで待てば良かった」と残念がるほどわずか1年でめまぐるしく進歩している。まさに「必要は発明の母」である。
 生き残る企業は柔軟だ。「過去の概念で現在を語る者は決して未来を築くことはできない」とチャーチルは言った。東日本大震災は、「過去の概念を捨てよ」と私たちに教えているように思う(2012年4月18日)。
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2012年03月02日

vol.145 休暇のあり方を考える

 3月3日は、五節句の一つ、「桃の節句」です。元々は健康と厄除を願う「上巳(じょうし)の節句」に由来すると言われています。唐時代の中国の暦法で定められた季節の変わり目を「節」と言い、この中国の暦法と日本の農耕を行う人々の風習が合わさり、定められた日に宮中で邪気を祓う宴会が催されるようになりました。これを「節句」と言うようになったということです。節句制度は、江戸時代に始まり、明治6年にその制度は廃止されましたが、今も年中行事の一環で定着しています。現在、日本の祝日法では五節句の中で祝日(休日)は5月5日の端午の節句(子どもの日)だけです。ちなみに3月3日と5月5日と7月7日(七夕の節句)は同じ曜日です。今年はいずれも土曜です。
 さて、日本の祝日は15日あります。アメリカは12日、フランスは11日、ドイツが9日、イギリスが10日、韓国は10日と日本の祝日は他国と比べ多いようです。ようやく日本でも、ワークライフバランスという言葉が広がってきました。しかし、依然として有給休暇取得率は上がらず、平成5年をピークに50%に満たない低位傾向が続いています。お上から強制的に休みを与えられなければ、自分から率先して休みを取らない、いかにも“自立できない日本人”的な祝日の多さと有給休暇取得率の低さです。
 有給休暇取得率が100%のフランスの有給休暇法の成立は1936年に遡ります。労働時間の短縮による労働者の権利行使の一つの手段として制定された有給休暇法は、やがて女性の社会進出、さらには経済振興と失業対策のためのワークシェアリングという側面を反映するようになりました。つまり、休暇は、労働者の生活を豊かにし、労働生産性を向上させるだけでなく、経済や雇用対策面での効果を及ぼしているのです。

 わが国では政権交代を期に、財政出動が少ないが経済効果が高い観光(ツーリズム)が成長戦略の1つの柱として位置づけられ、休暇改革の必要性がうたわれました。観光需要を拡大するには実質的な所得を上げることに加え、自由時間の選択の幅を拡大する必要があることから、休暇改革の必要性が示されたのです。
 ツーリズム先進国である欧州、特にフランスには、休暇制度に関して、わが国と全く異なる特徴があります。その1つが長期休暇制度(休暇付与の義務つき有給休暇制度やサバティカル休暇等)であり、もう1つが国を3つのゾーンに分割して休暇をずらして取得し、観光需要を平準化する休日の分散システムです。この休暇システムを先導しているのはフランスでは教育省です。つまり、子どもたちの学習能力を上げるために休暇が果たす役割、特に親と一緒に旅行を楽しむことの大切さを意識しての制度でもあります。
 わが国も産業構造が変化し、付加価値の高いサービス産業に従事する人口割合が高まるに連れ、日本人の働き方や生活様式さらには価値観が大きく変わりつつあります。今後成長するであろうサービス産業や、さらには人材育成の面からも子どもの教育をベースに休暇のあり方や制度を考えることが肝要です。将来に向けて時代にマッチした新たな休暇制度を検討するために、民主党は「休暇のあり方検討PT」を3月中旬に立ち上げる予定です。(2012年3月2日)。
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2012年01月20日

Vol.144  展示会・見本市の効用

 年が明けて、アメリカのラスベガスの「国際家電見本市(Consumer Electronics Show)」やデトロイトの「北米国際自動車ショー」の様子が新聞やテレビで報道されていました。日本でも東京ビッグサイトで「国際宝飾展」が開催され、ジュエリーベストドレッサーの表彰式がテレビでも報じられていました。
 アメリカで開催された2つの見本市には共通点がありました。それは、かつては日本の商品(家電や自動車)が世界の注目の的だったのですが、今回は韓国メーカーの商品が最先端であると紹介されていたことです。出展ブースの広さも韓国勢は拡張傾向、日本勢は縮小傾向とのことでした。

 さて、今回は、こうした展示会や見本市の効果について簡単に書き綴ってみます。
展示会や見本市は英語では通常エキシビション(Exhibition)と訳しますが、それは商談の場、つまりトレードショー(Trade Show)を指すのが一般的です。モーターショーや旅行博などは一般のお客様も入場することができますが、展示会や見本市は、生産者のほか卸売り、小売りといった買い手(バイヤー)中心の商談の場です。一般の方は、小売店の優良顧客が招待で入場できる程度です。
 その展示会や見本市は大きな経済効果を生み出すことは案外知られていないかもしれません。例えば、前述した「国際宝飾展」の場合、4日間の開催で参加者数が5万人、経済効果45億円、雇用創出数3,800人(主催者予想)とたいへん大きな効果をもたらします。
 家電見本市やモーターショーなどは、その時の展示会・見本市で新しい技術や商品を初めてお披露目する場でもあります。見本市は出展企業自らの強みを磨いて研究開発や商品開発をする誘因(インセンティブ)にもなるのです。 
 わが国も1980年代半ばには、見本市や国際会議を誘致し、あるいは自ら企画・運営して地域を活性化していこうという考えに基づいて「国際コンベンションシティ」を指定しました。施設整備も、千葉・幕張の「幕張メッセ」に端を発し、それ以降全国でコンベンション施設の建設ラッシュとなり、東京ビッグサイトも1996年に開場しました。1994年には「コンベンション法」を制定して一層のコンベンションの振興を政策として進めました。しかし、地方においては、企画や運営ノウハウ、誘致能力の不足等の課題を克服できず、成功する例よりも運営がうまくいかない例が多発してしまいました。 

 現在、世界では中国や韓国、タイやシンガポールなどが展示会・見本市を開催するための大規模な施設を建設しており、規模だけでみると東京ビッグサイトはアジアで16位、世界では60位と遅れをとっています。展示会ビジネスは、展示会場の所有者から企画・運営会社が床を借り、その床を出展者に貸し出すビジネスです。規模のメリットが生まれやすく、施設規模と経済波及効果は比例すると言われています。年々、世界規模の見本市は規模が拡大しています。
 展示会産業は、将来性があって、日本の強みであるモノづくりの技術を高度化するとともに、地域への経済効果が高い産業です。こうした観点からも、過去の失敗から学習したうえで、展示会産業を再度見直す時期に来ていると思います。この展示会産業の効用を再認識し、日本の成長戦略の柱になりうるかをじっくり考えてみようと思います(2012年1月20日)。
posted by 藤本祐司事務所 at 09:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ::: 藤本ゆうじのホンネ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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