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2011年06月21日

Vol.138 日本は「一を聞いて十を知る」文化か?

 米国の大学院の講義で習ったのだが、日本はいわゆるHigh Context Culture(ハイ・コンテクスト・カルチャー)と言われ、話の前後関係(文脈)や背景などから意図を理解する社会だと考えられている。まさに日本は「一を聞いて十を知る」文化、あるいは“あうん”の呼吸が通じる文化を持っているということだ。一方、欧米は、移民を含め様々な人種が混ざり合った社会であるが故に、一つのことを理解してもらうためには丁寧すぎるくらいの説明が必要になる。
 「一を聞いて十を知る」文化では、みんながわかりあえるから丁寧に説明しなくても済む。つまり、コミュニケーションの手間を省いても理解しあえる。日本人はコミュニケーション下手だと評されるのは、日本人はコミュニケーション能力を磨く必要性が薄かったからかもしれない。
 しかし、国際化や情報化が進み、多様な情報が入り込み、情報リテラシーの格差(情報量の差)が大きくなってきた今、日本もハイ・コンテクスト・カルチャーではなくなっていると考えた方が妥当だろう。
 となると、なかなか“あうん”の呼吸が通じなくなる。もはや、自分の理屈をあまり説明しなくても他人がわかってくれると思ってはいけないのだろう。これからは、説明さえすれば良いというだけではなく、他者に理解してもらうだけの説明能力を身につけることが重要だ。特に、政治家や情報を伝える報道にその能力が求められる。私もこのことを頭にたたき込んでおかなければいけないと考えている。

 ところで、6月2日の代議士会で、菅総理の発言を受けて、事前に話し合いをしていた鳩山前総理が発言した。詳細は報道等でご存じだろうから割愛するが、その際の菅総理と鳩山前総理との間にはきっと“あうん”の呼吸が存在していると勘違いしていたのだろう。長年付き合ってきた政治家同士の間でも、丁寧な説明と共通理解の確認が必要になっている。(2011年6月21日)
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2011年04月13日

Vol.137  過去に学ぼう、津波対策

3月11日の東日本大震災以降、大きな余震が続いている。時には余震とは思えないほどの大きな揺れがある。
 日本には、昔から自然と闘い、共存してきた歴史がある。特に津波被害については、1960年に発生したチリ地震津波に関する中央防災会議専門調査会報告書が興味深い。その報告書には、1933(昭和8)年3月3日に発生した三陸沖大地震による津波(昭和三陸津波)の検証と津波対策が書かれている。このことは、国土交通省都市・地域整備局の方々から教えてもらったのだが、その時の津波対策はまさに今議論している対策とほぼ同様である。

 その報告書には、津波対策として最も推奨すべきことは「高地への移転」と書かれている。漁業者や海運業者が高地に住むことが不便と言うのであれば、業務上の施設を共同且つ道路整備などで不便さを薄めるべきとしているが、住宅、学校、役場等は高地に設置すべきとしている。しかし、昭和8年の津波以降、約80年の間に、津波被害の記憶が薄れるとともに、津波未経験者や地域外から新たな住人によって、結局、集落は徐々に高地から低い平地に移った。つまり、昭和8年の教訓は徐々に風化し、住民の生活は効率性を重視するようになり、低地へと移っていったことがわかる。今後の地震や津波への対応策として、一旦決めた対策を厳格に守り続けていけるか、強制力を持ち続けられるかが、大きな課題となってくる。

 また、当時は防波堤や護岸といった構造物対策への期待は大きくなかったようだ。それは、昭和三陸津波ほどの大きな津波に効果的な構造物を建設することは経済的に不可能だったことや、堤防等の効果を調べる技術に乏しかったことにあるようだ。
 逆説的になるが、防潮堤や防波堤が整備されることで、むしろ安心感が増し、心のどこかに油断が生じ、「逃げる」という行為がおろそかになってしまうという分析もあるようだ。今回の震災でもわかる通り、地震から津波までは20分以上の時間差がある。つまり、地震が発生したらすぐに高台に逃げることの方が、防波堤などの構造物の建設よりも効果が高いという説もあるようだ。
 自然災害には“絶対”大丈夫はない。津波の場合、二重、三重のバックアップや防災対策は必要だが、津波からの避難場所や避難経路の確保が大切だと言うことを認識しておく必要があるのだろう。(2011年4月13日)
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2011年04月11日

vol.136 Back to Normal Scene(日常生活に戻ろう)

 東日本大震災から1ヶ月。被災地の方々の今の生活や今後の不安はまだまだ厳しい。直接は被災されなかった方も節電や企業活動などで大きな影響を受けている。まさに国難である。わたしたちは、被災地のことを思って背筋をピンっと伸ばして、毎日の生活にのぞむべきだ。
 一方、日本全体が落ち込んでいては、経済は益々冷え込んでしまう。下を向いてばかりでは元気が出ない。復興に向けて活気を取り戻さなければいけない。

 2001年9月11日に、いわゆる「アメリカ同時多発テロ」が発生し、世界中、とりわけアメリカ国民は大きなショックを受けた。その際、テロの中心となったニューヨークでは数々のアトラクションが、市民感情や安全上の問題を考慮して中止された。しかし、ブロードウェイのミュージカルやメジャーリーグは程なく再開した。ブッシュ大統領(当時)は景気の停滞を心配して、「ショッピング・モールに行って買い物をしよう」と呼びかけた。民間企業のテレビ・コマーシャルもすぐに日常モードに戻った。当時、ノーマル・シーン(Normal Scene)に戻ろうという言葉を良く聞いたことを思い出す。
 もちろん、テロと今回の震災とは状況が全く違うため、単純には比較できない。ただ、日本の場合、自粛ムードがより長く続いているように感じる。まだ先の5月や8月に開催されるお祭りの中止を早々決めた自治体があるかと思うと、民間企業のテレビ・コマーシャルも震災発生後1週間は8割がAC(公共広告)に代わり、3月末でも約60%がACのままだった。
 しかし、そろそろ日常モードに戻った方が良いのではないか。これからは、がんばっている東日本を、被災していない地域がもっともっとがんばって支えていくことが大事である。

 お酒を飲む方は東北のお酒を飲もう。東北にも今まで通り営業している旅館もホテルもある。5月の連休は東北の桜が見頃である。新たな芽が吹く季節、新緑が美しい。夏の首都圏は節電対策でクーラーを控えなければならない。涼しい東北は魅力的だ。東北に出掛けよう。
 復興には時間がかかる。長期戦だ。だから、無理をしないで、みなさんができることを各自でやってもらえれば、それで良いのだと思う。(2011年4月11日)
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2011年02月22日

vol.135 日本の底力

 日本の国内総生産(GDP)が中国に抜かれ、43年ぶりに世界3位に落ちました。これについては、色々な意見があるでしょう。GDPだけを経済指標ととらえて一喜一憂する必要はないという意見や、国家として見ればGDPは中国に抜かれたものの国民1人当たりでは日本は中国の10倍であるとか、さらにはそもそもGDPが低くても国民が幸福に感じるのであれば、その方が大切だという意見など多種多様です。
 ただ、確実なのは、少なくとも経済力があるというだけでは生活は豊かにならないと思うようになってきたということです。経済力だけで国家の力を計ることは間違いであることに気がつき、最近では文化力の重要性を説く方が増えてきました。
 静岡県の川勝平太知事は、2006年に「文化力〜日本の底力」という本を世に出し、高い評価を得ています。川勝知事は、「21世紀は『文化力』を競う時代。日本の国のたたずまいの魅力を高め、外国から憧れられるようになるとき文化は力をもつ」と言っています。『外国から憧れられる』『他国に誇れる』ことが日本の文化力の発揮につながるのです。
 先日、伊藤忠商事会長の小林栄三氏が日本経済新聞の中で次のように書いていました。「日本には、他国に誇れるものがたくさんある。人材や技術、それに信頼や安心・安全、どれも世界トップクラスだが、それを十分に活かせていない。今こそ課題、問題点を直視し、果敢に挑戦し、世界の中で光り輝く日本を取り戻そうではないか。頑張れ、日本。頑張ろう、日本。」と。
 昨年から今年にかけて、日本の文化力を世界に示した例が話題になっています。ノーベル化学賞を受賞なさった根岸栄一氏と鈴木章氏、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還と小惑星イトカワの微粒子の採取、今年に入ってからもサッカーアジア杯優勝、米国グラミー賞では松本孝弘さん、内田光子さん、上原ひろみさん、松山夕貴子さんの4名が受賞、フィギュア・スケート4大陸選手権で高橋大輔さんと安藤美姫さんが優勝し、男女とも日本人がワンツー・フィニッシュしました。
世界で最も多様性ある自然を持つ日本、世界で最も美味しい料理を提供するレストランを持つ日本などなど、世界に誇る日本の文化力。捨てたものではありません。最近話題の本に、「世界が絶賛する『メイド・バイ・ジャパン』(川口盛之助著)」や「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか(竹田恒泰著)」などがあります。こういった本を読んで、日本のすばらしさを再認識し、日本を好きになりましょう(2011年2月22日)。
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2011年02月10日

vol.134 今、なぜ観光か(その2)

 昨年12月2日に同名のタイトル(その1)で「世界の中の日本」という視点から『今、なぜ観光か』を書いた。その際、次回は“少子化と高齢化、さらには人口減少”の視点から観光の必要性を書くことを約束した。

 日本は、急速な少子化と高齢化のもと人口が減少しつつある。狭い日本、人口が減ることが必ずしも悪いことではないという意見はある。また、より生産性を上げれば、人口(働き手)が減っても大丈夫だという意見もある。産業振興面から言えば、付加価値型産業になれば、経済面のマイナスは防げるとも言われる。さらに言えば、一人当たりの消費額が増えれば、人口減少は怖くはない。
 それらの意見には一理ある。しかし、人口減少をそのままにしていれば、地方の消費活動が停滞し、地域経済の活性化が阻害される可能性が高まる。今後は、バブル経済期のように、急速に一人当たりの所得が上がり、消費が増えることは考えにくい。そのため、人口が減少することは地域の経済に打撃を与えることにつながることも確かである。
 人口が減少する社会では、全国一律に定住者を増やすことはできない。もちろん、特定の地域に人口が集中することは考えうる。実際に人口が増えている市町村はある。静岡県東部の長泉町はその実例である。ただ、人口減少下では、人口が増える地域があれば、必ずそれ以上に人口が減る地域が生まれてしまう。そのため、定住人口の減少を埋めるには、地域外から訪問者を呼び込むことが必要となる。いわゆる交流人口によって、地域経済を活性化させるのである。つまり、観光客やビジネス客を呼び込む観光が地域活性化につながっていくのである。

 また、高齢社会では、自身の保有資産の活用先が、高年層は元気なうちは旅行、身体面で不自由を感じるようになった後は医療や介護といった福祉へと変化する傾向にある。そのため、中年層や若年層への財貨の移動が停滞しない社会を作るためにも、観光(旅行)によって地域活性化を進めることが重要となる。

 要するに、少子化・高齢化、および人口減少下においては、観光振興が地域活性化に向けた有力な方策となるのである。地域経済を停滞させないためにも、観光を活性化することが重要である。
次は、産業構造の変化という潮流から「今、なぜ観光か」を説明することとしよう(2011年2月10日)。
posted by 藤本祐司事務所 at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ::: 藤本ゆうじのホンネ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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